福井県の女性に必要な創業支援とは何か/福井県における女性創業支援(第2章)

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第2章 福井県の女性に必要な創業支援とは何か

(1)福井県で女性の創業をサポートするためには

ふくい産業支援センターでは、以下の2点をふまえて、福井県の女性の創業をしっかりサポートし、その意欲や能力を十分に発揮できるような環境づくりに取り組もうと考えました。

①創業に興味のある段階から積極的に支援

福井県では「女性はお勤めして働くのが当たり前」といった考えが根強く、好きなことをビジネスにする「創業」に対して、どこか気が引けてしまうところがあります。

創業したいと思っている女性がいても、その存在が表に出てくるまでに時間がかかり、早い段階からの必要なサポートが行き届きにくい状況にありました。

そのため、福井県で女性の創業を支援するには、心に秘めている状態から次の一歩をふみだすきっかけとなる場を提供するなど、創業に興味のある段階から積極的にはたらきかけていく必要があります。

②事業コンセプトを作成する段階でビジネスマインドの習得を促進

「あまり目立ちたくない」といったひかえめな県民性から、あえてプチ起業と呼ばれる小規模ビジネスを選ぶ傾向がありますが、一方で、プチ起業は趣味の延長で始められる手軽さがあるため、コンセプトがあいまいなまま事業をスタートさせてしまう場合も多いです。

その後、売上げや集客の壁に直面した時に、問題を一人で抱え込んでうまく解決できず、そのうち事業をフェイドアウトさせてしまった・・というケースも少なくありません。

そのため、福井県で女性の創業を支援するには、創業決意後に事業コンセプトを作成する段階から、創業支援者がよき相談相手となり、知識面とマインド面の両面から、継続的にサポートする必要があります。

(2)女性の視点から見たこれまでの創業支援体制

ふくい産業支援センターではこれまで「創業」に特化した相談窓口はなかったのですが、図1の「総合相談窓口」という企業経営全般に関する相談窓口で創業の相談にものっていました。

ですが、相談にのる方は男性の専門家ばかりですし、また、主に経営者向けの相談窓口に敷居を高く感じてしまい、実際に相談する方は、具体的に創業の準備に取りかかっている方や、すでに創業している方に限られているのが現状でした。

そのため、これまでのふくい産業支援センターの創業支援体制では、「創業に興味のある」段階から「創業決意後、事業コンセプトを作成する」段階にいる女性にはあまりアプローチできず、女性創業者を生み出しにくい状況にありました。

(3)「福井式」女性創業支援スキームの構築

そこで、これらの状況をふまえて、ふくい産業支援センターが平成27年4月に新しく構築したのが、図2の「福井式」女性創業支援スキームです。

「福井式」女性創業支援スキームでは、よりいっそう福井県の実情に合わせて女性の創業をサポートするために、これまでの創業支援体制ではアプローチしづらかった、「創業に興味のある」段階から「創業決意後、事業コンセプトを作成する」段階の女性に重点を置きました。

具体的には、「創業に興味のある」女性を対象に、女性専用の創業相談窓口女性創業セミナーを実施して、興味をもっているものの心に秘めていた女性が、一歩をふみだすきっかけになる場を提供しました。

また、「創業決意後、事業コンセプトを作成する」段階の女性を対象に女性限定の創業塾を開催し、創業に必要な心構えをしっかり身につけられるようなプログラムを実施しました。

その他、「創業準備の段階から、創業後、事業を軌道にのせるまで」の女性を対象に、女性特有の弱みや課題を克服できるようなワークショップを実施して、知識の習得を促しました。

さらには、一気通貫型の男女向け創業マネージャーによる創業相談窓口を設置したことで、どの段階にいる女性にも寄り添えるサポート体制をつくりました。

※男女向け創業相談窓口でも、創業決意前の段階から相談にのっているものの、敷居を高く感じてか、その段階で利用する女性がほとんどいないため、図2では創業決意後からの出発点で矢印表記しています。

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◆担当者プロフィール◆
大学卒業後、勤めていた職場を出産を機に退職。子どもが1歳の時、社会保険労務士試験にチャレンジし、合格。翌年、個人事務所を開業。経営と育児と家事を両立させながら、企業の顧問、労働局の総合労働相談員、人材育成コンサルタントなどに取り組む。2015年4月に(公財)ふくい産業支援センターに入社。県内の創業・ベンチャー支援業務を担当し、現在に至る。(ふくい産業支援センター/岡田 留理)

■現在募集中の福井県の起業セミナー・起業家向け勉強会情報
https://www.s-project.biz/seminar
■福井県の起業・創業相談窓口
https://www.s-project.biz/consultation-business/founded-manager
■ふくい創業者育成プロジェクト事務局ブログ
https://www.s-project.biz/staff-blog

■問合せ先

公益財団法人ふくい産業支援センター
創業・Eビジネス支援グループ 岡田
Tel:0776-67-7416
E-mail:ebiz-g@fisc.jp
HP:https://www.s-project.biz/


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岡田 留理(おかだ るり)

公益財団法人ふくい産業支援センター職員。特定社会保険労務士。 開業社労士時代は、中小企業の顧問、労働局の総合労働相談員、人材育成コンサルタントを経験。2015年にふくい産業支援センターに入職した。 2015年よりふくい創業者育成プロジェクト(現ふくいベンチャー創出プロジェクト)を担当。2017年に「福井ベンチャーピッチ」を立ち上げ、県内ベンチャー企業の登竜門となるピッチイベントへと成長させる。2018年、近畿経済産業局が取りまとめる関西企業フロントラインにて、関西における「中小企業の頼りになる支援人材」として紹介された。 ★President Onlineに寄稿した記事→http://urx2.nu/pVYq

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