ただの文房具店ではない! 地方発「エンターテイメント文具店」ホリタの挑戦

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 こんにちは。ふくい産業支援センターでベンチャー支援を担当している岡田です。
 
 今、消費者ニーズは「モノからコトへ」シフトし、体験やストーリーを重視すると言われています。こういった消費行動の変化にいち早く対応していくことが、マーケティング戦略をとる上で重要です。
 
 県内で成長意欲の高いベンチャー企業をご紹介するシリーズ。5回目の今回は、老舗文房具店ながらいち早く消費行動の変化に対応し、業界の常識を打ち破り挑戦し続ける、株式会社ホリタ(福井市)の事例をご紹介します。
 
 よろしければ、ご覧ください!

32歳で老舗文具店の3代目に

 
 ホリタ文具は、創業70周年を迎える老舗文房具店です。福井県内に5店舗を展開し、嶺北を中心に年間70万人もの人が来店します。現社長の堀田敏史さんは3代目で、2014年7月、32歳のときに社長に就任しました。
 
 現在、ホリタ文具では、アートと知育の融合を目指した学び場「ホリラボ」や、子育てママがひと息つける場「ホリカフェ」、優れた文具を肌で感じてもらう体験イベント「ホリデモ」など、独自のサービスを展開。2020年12月にはBASEやYouTube、SNSを活用してオンラインでつながる「ホリコレ!」を開始するなど、オフライン(実店舗)とオンラインの両方を駆使しながら、お客様との「接点」を増やし、自社でしか味わえない「体験」価値の提供に挑戦しています。
 

 

業界の常識を打ち破り、挑戦し続ける

 
 祖父母の代から文房具店を営み、生活の中に商売が根づいていたと話す堀田社長は、「子どもの頃から社長っていいなと思っていました」とふり返ります。大学を卒業後、大手証券会社勤務を経て、25歳で現会社に入社しました。
 
 当時のホリタ文具は BtoBメインに文房具を取り扱っており、ASKULやAmazonなどのECサイトに押されて売上がじわじわと厳しくなっていました。「なにか突破口をつくらなれければ、いずれは頭打ちになる」と考え、たどり着いた答えがBtoCへの事業転換でした。
 
 堀田社長は強い決意のもと、粘り強く社員と理念を共有し続け、10年という長い時間をかけながら徐々にBtoCへと舵を切り、見事、地域に根ざした「なくてはならない」文具店へと生まれ変わらせたのです。

 

 

地方発「エンターテイメント文具店」へ

 
 しかし、堀田社長は挑戦の手を止めません。次に着手したのは、提案型文具店への転換でした。
 
 「これまでは、たくさん商品を仕入れてたくさん売り場に並べることで、お客様にわくわく感と便利さを提供してきましたが、これからは、商品を購入した先に何があるのかを丁寧に情報発信していくことが重要だと考えています」
 
 「今は、SNSや動画などを使って地方からでもどんどん情報を発信できる時代です。僕たちは、そういったツールを活用しながらお客様に『新しい文具の楽しみ方』を提案できる、地方発のエンターテイメント文具店を目指します」と堀田社長は力をこめます。
 


 

担当者のつぶやき

 
 今回の事例はいかがだったでしょうか。モノ消費とは購入した商品の「機能」に価値を感じること、コト消費とは購入した商品によって「得られる体験やストーリー」に価値を感じることを指します。「モノからコトへ」の消費者ニーズの変化は、ビジネスチャンスとも言えます。時代の変化を感じ取りながら、自社の戦略に取り入れていきましょう。
 
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 本記事は、ふくい産業支援センターが発行している情報誌「F-act」に掲載されています。

★情報誌 F-ACT(ファクト)
https://www.fisc.jp/fact/


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岡田 留理(おかだ るり)

公益財団法人ふくい産業支援センター職員。特定社会保険労務士。 開業社労士時代は、中小企業の顧問、労働局の総合労働相談員、人材育成コンサルタントを経験。2015年にふくい産業支援センターに入職した。 2015年よりふくい創業者育成プロジェクト(現ふくいベンチャー創出プロジェクト)を担当。2017年に「福井ベンチャーピッチ」を立ち上げ、県内ベンチャー企業の登竜門となるピッチイベントへと成長させる。2018年、近畿経済産業局が取りまとめる関西企業フロントラインにて、関西における「中小企業の頼りになる支援人材」として紹介された。 ★President Onlineに寄稿した記事→http://urx2.nu/pVYq

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