ふくい産業支援センターでは、2025年10月29日に「第12回福井ベンチャーピッチ」を開催いたしました。
目次
第12回福井ベンチャーピッチ開催概要
ふくい産業支援センターでは、2017年に県内初のピッチイベント「福井ベンチャーピッチ」を立ち上げました。以降、年に1、2回のペースで継続的に開催し、県内ベンチャー企業に対して、IPOや全国展開の足がかりをつくる成長の機会を提供しています。
2025年10月に開催した「第12回福井ベンチャーピッチ」は、県内外から420名が参加。県内外の有識者によるオープニングセッション、過去の登壇企業による現状報告プレゼン、県内ベンチャー5社によるピッチ、名刺交換会、登壇者との交流セッションなど、盛りだくさんの内容で開催し、盛況のうちに終えることができました。
◆開催日時
2025年10月29日(水)13:15~16:15
◆開催場所
福井県県民ホール(AOSSA 8階)
◆参加者数
420名(会場 230名・zoom 190名)
◆プログラム
1.ご挨拶
主催者挨拶:白嵜淳(公益財団法人ふくい産業支援センター理事長)
ご挨拶:杉本達治氏(福井県知事)
2.オープニングセッション
「挑戦が、未来を変える。」
スピーカー:小澤隆生氏(Boost Capital株式会社 代表取締役)
スピーカー:横井康孝氏(ユニフォームネクスト株式会社 代表取締役)
モデレーター:藤田豪氏(株式会社MTG Ventures 代表取締役)
3.過去の登壇企業3社による現状報告プレゼン
①株式会社フィッシュパス(代表取締役 西村成弘氏)
②株式会社アップカル(代表取締役 杉山満軌氏)
③まいほむ株式会社(代表取締役 牧野智樹氏)
4.ベンチャー企業5社によるプレゼン・質疑応答
(プレゼン6分+質疑応答7分/社)
①株式会社シマノ(代表取締役社長 嶋野寛之氏)
②株式会社sa-mo(代表取締役 村上雄哉氏)
③株式会社Welcart(代表取締役 南部正光氏)
④北鋼シャーリング株式会社(生産管理室長 増田悠二氏)
⑤株式会社Dim(代表取締役 五十嵐浩氏)
5.クロージング
総括コメント:横井康孝氏(ユニフォームネクスト株式会社 代表取締役)
感想:杉本達治氏(福井県知事)


参加者の概況

ご挨拶
主催者挨拶のほか、杉本達治氏(福井県知事)にもご挨拶を頂戴いたしました。
白嵜淳(公益財団法人ふくい産業支援センター 理事長)

杉本 達治 氏(福井県知事)

第1部 オープニングセッション
オープニングセッションでは、元ヤフー社長で、現在は地方から挑戦する起業家への投資・育成に力を注ぐ小澤隆生氏(Boost Capital株式会社 代表取締役)と、福井ベンチャーピッチメンターとして県内ベンチャーを牽引する横井康孝氏(ユニフォームネクスト株式会社 代表取締役)が、福井発ベンチャーの可能性について語っていただきました。
モデレーターを務めていただきましたのは、藤田豪氏(株式会社MTG Ventures 代表取締役)でした。

オープニングセッションの感想
・東京のVCから見た福井のビジネスモデルや福井の特徴、興味深かった(産業支援機関)
・地方の抱える課題、可能性を再確認できる面白いセッションだった(事業会社)
・地方発である意味や意義を改めて考えさせられた(大学)
(アンケートを一部抜粋)

オープニングセッションの感想
・目指さなくてはならない「レベル」感を3名から得られた(事業会社)
・視座の高い話であった(金融機関)
・IPO、M&Aなど資金・人が回る仕組みが明確で面白かった(金融機関)
(アンケートを一部抜粋)

オープニングセッションの感想
・成長エンジンとしての経営者同士の距離の近さが印象深かった(事業会社)
・地方から日本を盛り上げる勇気が沸いた!(事業会社)
・都市部から見た福井の印象や飛躍のチャンスなど聞けてよかった(金融機関)
(アンケートを一部抜粋)

第2部 現状報告プレゼン
第2部では、過去の登壇企業3社が登場。ピッチ後の挑戦と成長の歩みを報告しました。福井ベンチャーピッチは、2017年の開始以来、地道に開催を重ねてきました。
今回の報告の中には、その積み重ねがあったからこそ見える景色が、たしかに映し出されていました。
構成は、各社4分間のプレゼンと2分間の司会との質疑。質疑は、司会からの問いかけに登壇者が応えるスタイルで、カジュアルかつ率直なやり取りが展開されました。

現状報告プレゼン(全体)の感想
・ピッチを機にスケールしている企業が多く、刺激になった(事業会社)
・各代表の“想い”と“信念”に基づき事業をやりぬく姿勢に触れ、勇気をもらった(事業会社)
・過去と比較し今どうなっているか、ピッチによる効果や結果がわかりやすかった(金融機関)
(アンケートを一部抜粋)
株式会社フィッシュパス(代表取締役 西村 成弘 氏)


現状報告プレゼン(フィッシュパス)の感想
・狭くても掘り続ける姿勢と信念が参考になった(事業会社)
・当たり前を徹底する大切さに気づかされ、新鮮だった(事業会社)
・一点突破、その通り。リソースが限られたベンチャーにとって理想的な進め方(大学)
(アンケートを一部抜粋)
株式会社アップカル(代表取締役 杉山 満軌 氏)


現状報告プレゼン(アップカル)の感想
・“自分で行動しないと始まらない”は必須条件ですね(大学)
・杉山社長の“福井ベンチャーピッチに登壇してよかった”という話がリアルで良かった(自治体)
・挑戦姿勢が伝わってきて、自分も一歩踏み出したくなった(事業会社)
(アンケートを一部抜粋)
まいほむ株式会社(代表取締役 牧野 智樹 氏)


現状報告プレゼン(まいほむ)の感想
・他地域、違うフィールドに合う仕組みづくりは2次元から3次元のイメージで深い(大学)
・まいほむの展開を見て、地域発の仕組みづくりの可能性を強く感じた(産業支援機関)
・ビジョンがリアルで、次のステージが楽しみになった(事業会社)
(アンケートを一部抜粋)
第3部 ベンチャーピッチ
当センターがサポートする福井発ベンチャーが、資金調達、事業提携、販路拡大などを目的に、さらなる成長を目指し、熱いピッチを展開しました。
地域課題解決型スタートアップから後継ぎベンチャー、ネットショップから製造業まで、地方ならではの成長戦略を持つ企業が続々と登壇しました。
ベンチャーピッチの感想
・各社の挑戦心や市場への鋭い洞察に触れ、地方発ベンチャーの力強さを感じた(事業会社)
・毎年、登壇企業のレベルが確実に上がっており、福井の未来が楽しみ(金融機関)
・熱意ある発表が多く、福井を誇りに思える内容だった(自治体)
・福井の地域課題に真摯に向き合う姿に感動した。こうした発表の場は意義深い(産業支援機関)
・ライブ感があり、発表者の熱量が直に伝わってきた(大学)
・プレゼンは簡潔で熱意にあふれており、今後が楽しみな企業ばかりだった(VC・CVC)
(アンケートを一部抜粋)
登壇した企業は以下の5社です。※登壇発表順
①株式会社シマノ(代表取締役社長 嶋野 寛之 氏)
「インフラボットで省⼈化~放射線観測ロボット」
プレゼン概要
国内5兆円超のインフラ維持管理市場において、人手不足や危険作業の課題を解決する観測ロボット「インフラボット」を独自に開発。
初期は放射線観測分野に特化し、既に現場での実証を進めている。今後は社会インフラの維持管理、さらには工場やビルメンテナンスなど幅広い観測領域への展開を計画している。ビジネスモデルはOPEX型サービスを基盤とし、利用料モデルによる継続収益を確立。資金調達により3年以内に標準化を実現し、国内外市場での普及を加速、最終的には世界トップシェアを目指す。


②株式会社sa-mo(代表取締役 村上 雄哉 氏)
「養殖場の事業承継 生産と販売の最適化」
プレゼン概要
日本の山間部にある淡水養殖場が廃業の危機に瀕している。株式会社sa-moは、これらの養殖場を引き継ぎ、生産と販売の課題を解決することで、収益の出る事業へと転換する。
具体的には、効率的な生産技術の導入と、高付加価値な商品の開発・ブランディングにより、市場における競争力を高める。この成功モデルを確立し、全国に展開することで、新規参入者を増やし、地方に安定して稼げる産業を創出することを目指す。


③株式会社Welcart(代表取締役 南部 正光 氏)
「AIがECサイトの成長を加速させる ~マーケティングSaaS「AI Advisor(仮)」事業計画~」
プレゼン概要
小規模EC事業者を支援するマーケティングSaaSを立ち上げる。小規模ECが直面する「知識・時間・コスト」の不足をAIが補い、サイト改善のPDCAを自動化。効果測定から次の施策提案まで一貫支援し、低コストでの提供を実現する。短期ではWelcartプラットフォームの優位性を基盤に低CACで実績を積み上げ、中期には海外600万サイトへ拡大、長期では世界の全ECに対象を広げ、EC支援の定番サービスの地位を獲得する。


④北鋼シャーリング株式会社(生産管理室長 増田 悠二 氏)
「包丁に宿す刀匠の魂~福井から創出する持続可能な刀鍛冶文化~」
プレゼン概要
福井最初の鉄工団地・若栄町にて鉄の材料屋を営む北鋼シャーリングは、日本刀の材料となる玉鋼の代替鋼材「キタハガネ」の自社精錬を事業化。材料供給、そして刀匠の打つ包丁の企画・販売を通して、刀匠をサプライチェーンの川上・川下でサポートし、「使える美術品」として日本刀に代わる新たな市場を創出する。5年後には鉄工団地内に製鉄・鍛造の体験ができる拠点を設置し、国内外から人が訪れる鉄の聖地化を目指す。


⑤株式会社Dim(代表取締役 五十嵐 浩 氏)
「老舗花屋M&A スケール戦略で地方創生~老舗花屋の寿命を20年延ばす~」
プレゼン概要
承継者不在で廃業危機にある老舗花屋をM&Aで引き継ぎ、仕入れ共有・人材活用・法人営業強化など独自の運営ノウハウで売上と利益安定を図る。店長候補には店舗運営に加えて売上・粗利益など経営視点を交えた教育を施し、将来的なオーナー承継を支援。複数店舗の連携により仕入れ・配達・人手・認知度などのシナジーを最大限に引き上げ、この仕組みを全国の地方に広げ、地域の花文化を守りながら持続的な成長を実現する。


イベント全体の感想
参加者の方からイベント全体の感想をいただきました。

イベント全体の感想
・地方開催でありながら、ビジネスモデルや質疑のレベルが高かった(事業会社)
・12回も続いていること自体が素晴らしく、北陸の熱量を改めて感じた(大学)
・福井のエコシステムが可視化されたイベントだった。強い熱意を感じた(監査法人)
・毎回イベント全体から熱量を感じ、時間を忘れるほど内容に引き込まれる(産業支援機関)
・12回も続いているのに、毎回どこか新鮮。これからも応援していきたい(大学)
・規模も内容も年々進化しており、今や楽しみなイベントの一つになっている(金融機関)
(アンケートを一部抜粋)
アドバイザー
登壇企業5社のプレゼンに対して、以下の6名のアドバイザーの方々から有意義な質問や貴重なアドバイスを多数いただきました。
藤田豪氏(株式会社MTG Ventures 代表取締役)

木嶋豊氏(株式会社アイピ―アライアンス 代表取締役社長)

高原瑞紀氏(ジャフコグループ株式会社 西日本支社長/パートナー)

林龍平氏(ベータ・ベンチャーキャピタル株式会社 代表取締役)

山田岳人氏(株式会社大都 代表取締役)

前田尚宏氏(前田工繊株式会社 代表取締役)

アドバイザーによる質疑の感想
・アドバイザーの質問で理解が深まり、登壇者の考えも明確に伝わった(自治体)
・アドバイザーの質問でビジネスモデルの構造がより具体的に見えた(金融機関)
・アドバイザーから異なる視点でのコメントがあり、とても意義ある機会だった(産業支援機関)
(アンケートを一部抜粋)
クロージング
最後に福井ベンチャーピッチのメンターを務めていただいている、横井康孝氏(ユニフォームネクスト株式会社 代表取締役)から総括のコメントをいただき、杉本達治氏(福井県知事)から応援メッセージをいただきました。
総括コメント
横井康孝 氏(ユニフォームネクスト株式会社 代表取締役)

応援メッセージ
杉本達治 氏(福井県知事)

福井ベンチャーピッチの舞台裏
今回の配信も、過去の福井ベンチャーピッチ登壇者でもある、田辺一雄氏(株式会社エムディエス 代表取締役)が担当してくださいました。

田辺さん、ありがとうございました!
担当者のつぶやき
おかげさまで、12回目となる福井ベンチャーピッチを無事に開催することができました。ご参加いただいた皆さまに、心より御礼申し上げます。
今年も、地域課題に挑む福井発ベンチャー5社が力強いピッチをし、会場は熱気に包まれました。シマノさん・sa-moさん・Welcartさん・北鋼シャーリングさん・Dimさん、それぞれが持つ強みと今後の成長可能性を存分に感じさせる、素晴らしいビジネスプレゼンでした。
加えて、これまで温めてきた企画を詰め込んだ、ひとつの集大成とも言える構成を実現できた今回。中でも「現状報告プレゼン」は、長年の積み重ねと信頼関係の証ともいえる企画であり、多くの方と共有できたことを大きな喜びとしています。
ご登壇いただいたのは、フィッシュパスさん(8年ぶり)、まいほむさん(4年ぶり)、アップカルさん(2年ぶり)の3社。それぞれの歩みと成長が伝わる発表となり、挑戦の軌跡を改めて皆さまと共有できたことは、担当者としても非常に意義深い時間となりました。
さらに、2018年からお招きしたいと願っていた小澤さんを、ついにオープニングセッションにお迎えできたことも、大きな節目となりました。
開催までの準備は決して平坦ではありませんでしたが、今年も420名を超える方々にご参加いただき、アンケートでも過去最高の評価をいただけたことに、今はただただ感謝の気持ちでいっぱいです。
今後も、福井のベンチャー経営者の皆さまを支える、地域に根ざした活動を、丁寧に、真摯に続けてまいります。登壇企業の皆さまのさらなる飛躍と、それぞれの挑戦の成功を、心より応援しております。
このたびは本当にありがとうございました!
問い合わせ先
公益財団法人ふくい産業支援センター
ベンチャー・DX推進部 岡田
Tel:0776-67-7411
E-mail:venture@fisc.jp
HP:https://www.s-project.biz/
岡田 留理(おかだ るり)
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