町工場が業界に大きなムーブメントを起こす! 溶接体験スペース「アイアンプラネット」の挑戦

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 こんにちは。ふくい産業支援センターで、福井県におけるベンチャー支援を担当している岡田です。
 
 「うちは小さい会社だから求人しても応募がこない。若い人の採用は特に難しい」と悩んでいませんか。しかし、若い人材が集まらないのは、「小さい会社だから」が理由ではなく、あなたの会社の魅力が知られていないからかもしれません。

 
 県内で成長意欲の高いベンチャー企業をご紹介するシリーズ。3 回目の今回は、従来の鉄工所という閉鎖的なイメージを打破しオープンな場所にすることで、企業の認知度を高め若手人材採用の実現を目指す、株式会社長田工業所(坂井市)の事例をご紹介します。
 
 よろしければ、ご覧ください!

職人の高齢化と若手人材の不足に直面

 

 株式会社長田工業所は、現会長の小林伸太郎氏が 1991 年に設立した鉄工所です。現社長の小林輝之氏は、2012 年 6 月に二代目社長に就任しました。当時、職人の高齢化と若手人材の不足に悩んでいた小林社長は、現状を打破するべく新しいアイデアを思いつきます。それが、「アイアンプラネット」です。

 アイアンプラネットとは、自社の溶接工場を鉄の惑星ととらえ、溶接体験の場を提供する“溶接のテーマパーク”です。工場内の 2 階ロフト空間を改装し、2015 年 6 月にオープンしました。職人から直接、指導を受けながら防炎服や防護マスクをつけて溶接し、鉄製のネームプレートや腰掛けなどを作ることができます。
 

溶接体験を通じて鉄工所の魅力を伝えたい

 
 小林社長の挑戦は実を結びます。新しい取り組みにより企業イメージが高まったことで、2016 年には創業以来初となる高校生の新卒採用に成功しました。報道でアイアンプラネットを知った母親からインターンシップを勧められたことがきっかけだったそうです。

 

 

 2020 年 10 月には、ネット検索でアイアンプラネットの存在を見つけた千葉県の 22 歳男性が I ターン入社するなど、小林さんが社長になる前は 10 名だった社員数は、倍の 20 名にまで増えました。

 

 

 

 「当社の業務は多岐にわたるため、何をやっている会社なのか、はっきりと周りに伝えづらいのが悩みの種でした。こういうものを作っています、こんな会社に当社の製品を卸しています、とブログでこまめに発信していた時期もありましたが、中には守秘義務の製作物もあり、なかなか効果的に魅力を伝えられませんでした。そんなときに思いついたのが、アイアンプラネットです。『溶接カッコいいでしょう!』という大胆な切り口で、仕事の内容や職人の姿を分かりやすく印象的に伝えたことで企業の認知度が高まり、結果として若手人材の獲得にもつながりました」

 

アイアンプラネットの FC 化に着手

 
 小林社長は現在、アイアンプラネットのフランチャイズ(FC)化に着手しています。2020 年 9 月にはフランチャイズ1号店が沼津にオープンし、今後は、栃木、神奈川、岩手、岐阜、富山などで順次オープンしていく予定です。
 

 
 「現在も全国から問い合わせが続いており、アイアンプラネットに興味をもつ鉄工所がたくさんあるんだなと実感しています」と小林社長。アイアンプラネットのFC 化を通じて、今後もさらに鉄工所業界に大きなムーブメントを巻き起こしていかれるのではないでしょうか。

 

担当者のつぶやき

 
 今回の事例はいかがだったでしょうか。企業 PR のポイントは、伝える内容(会社の魅力)と伝える方法(見つけてもらう仕組み)です。「何をやっている会社なのか、魅力をうまく伝えづらい」と悩んでいる場合は、思い切った大胆な切り口を見つけて、印象的に伝えるという方法に挑戦してみるといいのかもしれません。
 
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 本記事は、ふくい産業支援センターが発行している情報誌「F-act」に掲載されています。

★情報誌 F-ACT(ファクト)
https://www.fisc.jp/fact/


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岡田 留理(おかだ るり)

ふくい産業支援センター職員。特定社会保険労務士。 開業社労士を経て、2015年4月に(公財)ふくい産業支援センターに入職。現在は、福井県におけるベンチャー・創業支援業務を担当している。2018年11月、近畿経済産業局が取りまとめる関西企業フロントラインにて、関西における「中小企業の頼りになる支援人材」として紹介された。 ★President Onlineに寄稿した記事→http://urx2.nu/pVYq

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