福井発ベンチャーへのメッセージ ~ vol.1 藤田豪氏(株式会社MTG Ventures 代表取締役)

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 ふくい産業支援センターでは、成長意欲の高い福井発ベンチャー企業への、さらなる事業拡大への機会の提供を目的としたビジネスプレゼンイベント「福井ベンチャーピッチ」を定期開催するなど、福井のベンチャー企業を積極的に応援しています。

 今回は、福井ベンチャーピッチ初期からアドバイザーとしてご協力いただいている、藤田豪氏にお話しを伺いました。藤田氏は、20年近く名古屋のベンチャー企業を取り巻く環境に身を置く、名古屋のベンチャー支援のキーマンでもいらっしゃいます。

 そんな藤田氏から福井のベンチャーに向けて熱いメッセージをいただきました!

地方開催とは思えないくらいのアドバイザー陣

 
 
―福井ベンチャーピッチについてどう思いますか?良い点や課題点など。
 
 いろんな地方開催のピッチと比べてみても、福井ベンチャーピッチはかなり熱量が高い印象です。

 アドバイザー陣も、「これは東京開催なのか?」と思うくらい、すごいメンバーというか濃いメンバーがそろっていて、地方開催とは思えないくらいです。なかなか無いですよ、ああいうメンバーが集まる地方のピッチイベントは。他県の場合は、地元の人たちで固めがちですから。

 起業家やベンチャー経営者にとって、これほどいいインプットとアウトプットができる場はないんじゃないでしょうか。

 課題点は、量と質のアップですね。イベントを継続させることも当然ですが、数も増やして質も上げる。両方やっていかないといけない。どこも一緒だとは思うんですけれどね。

これほど多くの経営者が切磋琢磨し合う県は類を見ない

 
 
―福井のベンチャーについてどう思いますか?良い点・課題点など。
 
 皆さん、やるべき事業を絞って、一点突破でニッチトップ目指しているというのが、どの業種・業態でも感じられ、とても特徴的です。

 もちろん、他県にもそういった経営者はたくさんいますが、例えばゲンキーの藤永社長が主宰しているBBR経営塾のように、多くの経営者がランチェスター戦略を学んで、同じ方向を向いて、切磋琢磨し合っている勉強会を持つ県は類を見ないんじゃないでしょうか。
 福井(という地方)だからこそ、やるべき戦略の一つなのだと思いますが、あの集合体でやっているからこその相乗効果は大きいと思います。

 一方で、ランチェスター戦略のような弱者の理論で足元から着実に攻めていきつつも、よく言われる「ムーンショット」みたいな、目指すところにどうやって向かっていくか、中長期的にどうやって拡大してくかという視点は、最初からある程度描いて持っておいた方がいいと思います。
 拡大していくにあたっての先を見たベンチマークというか物差しをもって、視座を上げて視野を広げていくといいですね。
 

※参考記事
福井県はEC好適地?~上場企業からスーパーニッチまで 成長するベンチャーが育つ理由~
https://www.s-project.biz/staff-blog/2020-6-5

 

今こそスタートアップ投資をやるべき

 
 
―コロナ禍で、CVCは投資控えしているという声も聞こえますが。
 
 前回のCVCのブームはリーマンショックで終わりましたけれど、今回は終わらなさそうな感じがしています。予算が多少減らされたといっても、そもそも予算が100億だとかそういう会社ばかりですから。今こそ会社を存続させるための手段としてのオープンイノベーション、スタートアップへの投資をやるべきでしょうと言っている事業会社の投資責任者の方は多いです。
 そういった意味で行政も、コロナの今だからこそ、ベンチャー支援を積極的にやるべきです。

 

これからは地方の時代

 
 
―福井のベンチャーへひと言ください
 
 コロナの影響もあって、いろいろと価値観も変わり、あらためて「働く場所、どこでもいいよね」という風潮になってきました。地方はいろんな意味で見直されています。人事評価も成果主義になり、机に座っている時間で図られないところがどんどん増えていくので、なんの仕事を福井でやろうが秋田でやろうが(※藤田氏は秋田県出身)どこでもいいわけです。

 福井のベンチャーがどんどん大きくなっていって、「これからは地方の時代なんだよ」と先頭に立って広めてほしいなと思います。福井を見せつけてやってください!

 

藤田豪氏のプロフィール

 


 
株式会社MTG Ventures 代表取締役

1974年生まれ。明治大学卒業後、1997年日本合同ファイナンス株式会社(現株式会社ジャフコ)入社。2007年中部支社投資部長、2013年中部支社長。22年にわたり、スタートアップからレーターステージまでの投資、投資先各社での取締役就任、ファンドの募集などを手掛ける。2018年10月より現職に就任。5,000人以上の経営者との出会いによって培われた視点をベースに、Beauty-tech、Wellness-tech、Food-tech、Sports-techの投資に臨む。
 

株式会社MTG Venturesについて
 2018年10月設立。美容ローラーでおなじみの美容ブランド「ReFa」や、クリスティアーノ・ロナウドがブランド開発パートナーを務めることで有名なトレーニング・ギア「SIXPAD」などのブランド製品の開発・販売を手掛ける、株式会社MTG(2018年マザーズ上場)のコーポレートベンチャーキャピタルとして、Beauty-tech、Wellness-tech、Food-tech、Sports-techの4分野を中心にスタートアップへの投資を行っている。

 

藤田豪氏と福井ベンチャーピッチとの関わり

 
 2017年10月の第1回福井ベンチャーピッチより毎回アドバイザーとしてご協力いただき、2019年2月に開催したin東京ではオープニングトークセッションで、2020年3月に開催した第5回福井ベンチャーピッチでは基調講演の講師を務めていただきました。

 その他、2019年以降は、登壇企業の選考委員としてもご協力いただくなど、まさに、福井のベンチャー支援には欠かせない存在です。(※)
 

※時系列順
第5回福井ベンチャーピッチ(2020.3)
 基調講演・アドバイザー・選考委員
福井ベンチャーピッチin東京(2019.2)
 オープニングトークセッション講師・アドバイザー・選考委員
第3回福井ベンチャーピッチ(2018.9)
 アドバイザー
第2回福井ベンチャーピッチ(2018.3)
 アドバイザー
第1回福井ベンチャーピッチ(2017.10)
 アドバイザー

 


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岡田 留理(おかだ るり)

公益財団法人ふくい産業支援センター職員。特定社会保険労務士。 開業社労士時代は、中小企業の顧問、労働局の総合労働相談員、人材育成コンサルタントを経験。2015年にふくい産業支援センターに入職した。 2015年よりふくい創業者育成プロジェクト(現ふくいベンチャー創出プロジェクト)を担当。2017年に「福井ベンチャーピッチ」を立ち上げ、県内ベンチャー企業の登竜門となるピッチイベントへと成長させる。2018年、近畿経済産業局が取りまとめる関西企業フロントラインにて、関西における「中小企業の頼りになる支援人材」として紹介された。 ★President Onlineに寄稿した記事→http://urx2.nu/pVYq

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